2021.01.08更新

 皆さんは今までムロンジェやブロンジェ、ドロンジェという言葉を聞いたことがありますか?
MRONJ(ムロンジェ)とは、Medication-Related OsteoNecrosis of the Jawの略で日本語訳をすると薬剤関連顎骨壊死と訳されます。
 詳しく説明すると、MRONJとは骨粗しょう症のお薬であるビスホスホネート製剤やデノスマブ(ランマーク、プラリア)、あるいは抗がん剤であるアバスチン、スーテント、ラパマイシン、ネクサバールなどの使用中・使用後にお口の中の手術を行うと顎骨壊死(顎の骨が腐ること)が起こり、その腐った骨が粘膜や皮膚に出てしまうことが報告されています。BRONJ(ブロンジェ)とはビスホスホネート製剤が原因で起こるもの、DRONJ(ドロンジェ)とはデノスマブが原因で起こるものを指しますので、MRONJの中の一つがBRONJやDRONJであるという位置づけになっています。

骨粗しょう症とは、骨の強度が低下してもろくなり、骨折しやすくなる病気です。骨の強度を規定する要因としては、骨密度と骨の質(骨質)があります。骨の強度に関しては、70%が骨密度、残りの30%は骨質に影響されるといわれています。そして、骨の強度が低下する主な要因としては、女性ホルモンであるエストロゲンの欠乏、加齢、運動不足などの生活習慣の3つが考えられます。
 
 MRONJは約半分の人が歯を抜いた後の治癒不全として起こり、残りは歯性感染病巣(虫歯から起きた根の病気や歯周病)の放置や合わない入れ歯を使うことで出来た歯茎の傷が原因で起こります。初期症状は何もないのですが、進行すれば痛みや膿が出てきます。通常の骨壊死と異なり、骨壊死が限局化せず進行していく事が問題で、癌・骨転移患者で生じたMRONJでは有効な治療法が確立されていません。

 抗がん剤は休薬することは基本的に難しいので、ここからはBRONJ、DRONJについて考えていきます。

ビスホスホネート製剤やデノスマブを使用している方が歯科治療を受ける際に気をつけるべきポイントをQ&Aで見ていきましょう。

Q1 薬を止めることは必要か
A1 国内外ともに薬を止めることは推奨されておらず、BRONJやDRONJの予防効果は認められていない

Q2 抜歯はすべきか
A2 残せない歯はBRONJ、DRONJを引き起こさない為に速やかに抜歯するべきである

Q3 歯周病の治療はすべきか
A3 非外科的治療(メスを使わない、手術もしない)を主体として行う。再生療法は行わない

Q4 根管治療は行うべきか
A4 根管治療はしても良いが、歯根端切除術(歯茎をめくって根の先を切る手術)は行わない

Q5 被せ物や入れ歯で気をつけることはあるか
A5 被せ物は通常通りで問題ない。入れ歯は合っていなければ、合う様に調整するか新しく作り変える

Q6 インプラント治療はしても良いか
A6 して良い場合としてはいけない場合がある

Q7 インプラント治療後にビスホスホネート製剤、デノスマブを使用するとBRONJ、DRONJは起こるか
A7 起こる場合があるので注意が必要

Q8 インプラント周囲炎はBRONJ、DRONJを引き起こすことがあるかどうか
A8 引き起こす可能性が非常に高い

 特に注意したいのはQ7です。
骨粗しょう症は特に閉経後の女性がなりやすく、将来的にビスホスホネート製剤、デノスマブを飲まなくてはいけない状態になる方は決して少なくありません。ですので安易にインプラントを選択するのではなく、この様なリスクがあることを十分に考えた上での選択が必要になると思います。
 また、Q8も注意が必要です。
インプラントを入れた後にメインテナンスを継続的に行わなければ、誰でもインプラント周囲炎になるリスクが高くなります。これらの薬剤を飲まれている方はそれによってBRONJやDRONJを引き起こす可能性が高まります。ですので、メインテナンスがいかに重要であるかも分かって頂けたと思います。
 これらのお薬を飲まれている方は必ず担当医までお伝えください。また、分からないことや、ご不明点がございましたら直接、担当医までお尋ね下さい。

 

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